〜ベストフレンド〜

 

 

 

―――――共に冒険をした仲間。それはあなた達にとって、どんな人?

 

 

 

 

 

 

 

仲間の事についてか?……まあ、思うことは色々あるが、いい奴らだったな。

会えてよかったと……会う運命になっていて本当に良かったと思っている。それだけは間違いない。

 

 

―――――語り手・プー

 

 

ネスは……俺達の頭として恥じない奴だった。

最初こそ頼りない雰囲気を感じずにはいれなかったが、すぐにそんな印象も消えた。

俺より年下なのにも関わらず、どんな逆境でも屈しない精神力には、正直感服した。

何より、幼き頃から絶えず修行していた俺よりも強力な神秘の力……あっちの言葉ではPSIか、それを使えるのには驚いたな。

今だから言えるが、あれには少しばかり羨望したぞ。ランマでは、俺より上手のPSIの使い手はいなかったからな。

だが、同時に新たな修行の励みにもなった。互角以上の強さを持つ者は、何よりも自分を高める存在になるからな。

自惚れかもしれないが、あれから多少なりとも強くなった感はある。今度またネスに会ったら、是非とも手合わせを願いたいものだ。

……いや、手合わせではない、一度でいいから本気で戦ってみたいと思う。

あいつと俺、どちらが強いのか。それを確かめたくて仕方のない思いが、俺の中に微かに、しかし確実に存在している。

それはあいつを超えたいと思う俺の欲望なのか、ただ強者との戦いを求める俺の中の修羅なのか……それは俺にはわからない。

だが、どちらにせよ、あいつはと本気で戦う機会はないだろう、永遠に。いや、あってはならない、と言ったほうが正しい。

俺とネスは仲間であり友。それ以外の何物でもない。あいつと戦う事など、決してあってはならない。例え、俺がどんなに望んだとしても。

……だが、そういう事はおいといて、あいつには一つだけ困らされた事がある。

『はんばーがー』やら『ぴざ』とやらを、遠慮する俺に無理やり食わそうとする事だ。

……西洋の者というのは、常にああいう物を食するのだろうか?……何?恐らくそうだろう?……やはりそうか。

あいつとこれからも付き合っていくには、その辺りも学んでおく必要があるかもしれんな。……今日から少しずつ、食していくことにするか。

 

 

 

 

 

 

 

ポーラは……出来た女性だと感じたな。

年の割りに、母性……と言うのだろうか?そういう物が満ち足りていた印象が強い。

常に笑みを絶やさず、仲間が困っていれば進んで協力を申し出る。女性はこれまで何人も見てきたが、彼女ほどの者はそうそういる物ではない。

戦いにおいても、女性ながらPSIの使い手としては十分な素質があった。

特に彼女の「てれぱしー」とやらの、意思を他者に伝える能力には驚かされた。あれだけは、どうやっても俺には会得できそうにもない。

修行によって得られるものではなく、天性の素質によるものだと、初めて見たときに悟ったからな。

だが、やはりそんな力を持っている自分への不安はあったのか、一人で考え込んでいる姿が、しばしば見受けられた。

何とか力になってやろう、とは思ったのだが、情けなくもそういう時に何を言えばいいのか皆目見当もつかなかった。

俺自身、そんな不安を抱えたことがないからだ。自分の持つ力についての不安などはな。

そういう身である以上、こればかりは手を貸せそうもないと分かり、多少の歯がゆさも感じた。

……だが、彼女に俺が手を貸す必要はないのだとすぐに分かった。彼女にはネスがいたからだ。

『どんな力をもっていても、ポーラはポーラだよ』

励ますような笑顔と共に発せられたその言葉は、彼女には何よりの言葉だったのだろう。

感極まって抱きついた彼女と、真っ赤になって狼狽しているあいつの有様は、中々の見ものだった。

あの二人なら、きっと良い夫妻になるだろうと思う。こんな事を考えるのは、少々気が早いかもしれんがな。

俺がしてやれる事といえば、毎晩星に願いを捧げることぐらいだが、彼女らには幸せになってほしいと心から思う。

……だが、流石にあちらに先を越されるのはどうにもな。俺もそろそろ、そういう事を考えておくべきなのかもしれん。

…………だったら、見合いでもしろ?……そうだな。

 

 

 

 

 

ジェフは……天才。そう表すしかない奴だったな。

何も学の事に限ったことではない。あいつは、あらゆる意味で天才だった。

停滞していた状況が、何度あいつの案によって打破されたことか。これも生まれ持っての素質なのかもしれんな。

例えPSIは使えなくても、あれだけの明晰さを持つ奴にも、神秘の力はあると言っても過言ではないだろう。

思えば初めて会ってからしばらくは、互いに避けあっていた気がするな。

奴は俺が王子だと気を使っていたのだろうし、俺も奴の事はよく分からなかった。

これは何も奴に限ってだけのことではないのだが、ネスとポーラに比べ、ジェフと打ち解けあうには、それなりの時間が掛かった。

だが、その反面、打ち解けてあってからは一番気があう友になった気がするな。二手に分かれて行動する時も、奴と一緒になる事が多かった。

……まあそれは、ネスとポーラを二人きりにさせようという奴の計らいもあっての事だが。

そのうち段々と、普段も会話するようになっていった。何故に奴とここまで気が合うようになったのか、正直今でも分からない。

俺は奴の専門であう『かがく』やら『ましーん』については全く分からんし、奴も俺やランマの事はよく分からないといっていた。

互いに分からないから、互いに知ろうとするのかもしれんが、それすらも俺に分からん。

分かっているのは、奴と俺は気が合うという、極めて単純な事実だけ。そして、それでいいと俺は思う。

人が人と関わっていくのに、小難しい理論など必要ない。気が合うから気が合う。それだけで十分だ。

……もっとも、ジェフは色々と考えていたようだがな。なぜ人は他者に心を開くのか、等をな。

どんな結論に至ったのか、今度会ったときに是非とも教えてもらいたい物だ。

その時は俺も教えてやろうと思う。奴が知りたがっていたランマのこと等をな。

…………しかし、奴には一つだけ言っておきたい事がある。何をだと?寝ている間にしてしまった物の後始末を、俺にさせるのはやめろ、とだ。

いったい何のことだと?……品が無いから具体的には言わん。ともかく、ある物だ。

確かに俺の氷術なら、液体を凍らせて処分するのは容易いが、あれはそういった物に使うものではないんだからな。

と言うより、早く大人になれ―――――そう奴に言いたい。

 

 

 

――――色々と語ったが、あいつら以上の者には、多分もう会うことはないだろうな………

 

 

 

 

 

 

 

仲間の事について?……ううん、どこから話そうかなあ?

色々ありすぎて困るんだよね。……まっ、一人ずつ話していこうか。

 

 

 

――――――語り手・ジェフ

 

 

 

ポーラは……思えば僕が旅立つきっかけになったのが、彼女だったんだよね。

あの時は驚いたなあ……何せ寝ているときに突然、頭の中に声が聞こえたんだからね。

『遠くにいるあなただけが、私達を救えるのよ、ジェフ!まだ、会ったことのない……かけがえのない……仲間!』

……なんて、今にして考えたら、よく信じて疑わなかったなあ僕。

いや、自分で言うのもなんだけど、あの時の僕は普通じゃなかったよ。普通だったら、絶対に夢だって片付けていた。

それなのに……ただの夢なのかもしれないのに、酷く胸騒ぎがしていてもたっていられなくなっていた。

そんな事で寮を抜け出して、パパに出会ってスカイウォーカーを借りて、彼女達の元へと向かった。

何処にいるのかは全く分からなかったのに、僕は無意識にスカイウォーカーを、スリークの町に向けていた。

そして墜落……いや着陸したらホントにいたんだからね、男の子と女の子の二人組みが。驚いたのなんのって。

『テレパシー』なんて、あの時まで信じてなかったからな。……今じゃ、論文に書くほど研究してるけど。

にしても、会ってから暫くはポーラと話すのは苦手だったなあ。ずっと寮生活してたから、女の子と話した事なんて無かったからね。

でもいつの間にか打ち解けて……色々相談もされた。その中で一番多かったのは、ネスとの事だったな。

『ネスは私の事、どんな風に思ってると思う?』とか『ネスはどんな女の子が好きだと思う?』とか、

そんな事、僕にだって分かるはず無いのに、いっつも聞いてきたもんなあ……正直、回答に困ったよ。

まっ、結局あの二人は上手くいったし、僕もまた研究のテーマを見つける事になったから良かったけど。

『恋愛に、理論も方程式もな』……こんな論文を発表する気になったのも、彼女がきっかけだね。

……でも、あえて一つだけ文句を言わせて貰えば、いつでもどこでもネスと恋人の空気を作るのはやめてほしいよな。

本人達は幸せなんだろうけど、傍で見ている身としては胸焼けして仕方がない。仲良すぎるのも考え物なのかなあって、僕はその度に思っていた。

 

 

 

 

 

ネスは……その元気さが羨ましかったな。

どんな場所でもどんな時でも、いっつも元気だったからなあ、あいつ。

ウインターズでも半袖短パンだったし、ドコドコ砂漠やスカラビでも、一度も日射病にならなかったし。

本当にうらやましかったよ、僕なんて冒険中、何度風邪や日射病になったことか……ああでも、ネスにも元気のなくなる時があったよね。

一つ目、ホームシックにかかった時。こうなると、てんで頼りなくなっちゃうんだよね。

戦闘中は突然ボーッとしだして戦わなくなるし、ホテルなんかに居るときは、溜息ついてばっかりだし。

ネスのママに電話すればすぐに直るんだけど、近くに電話がない時にかかると、もう最悪。

まっ、普段のネスは、僕達の中で一番強いんだけどね。ホント、あれさえ何とかしてくれたらなあ……そういや、今はもう直ったんだろうか?

……とは言え、ホームシックの場合は治療法があるだけマシだったかもしれないな。

だけど二つ目の……ポーラと喧嘩した時はなあ……こっちの場合は完全にお手上げなんだよね。

ネスはどよ〜〜んと暗いオーラ漂わせるし、ポーラはポーラでカッカして触れたら怒りが爆発しそうだし。

戦力は言わずもがなガタ落ち……特に三人の時は悲惨極まりないし、普段の生活は居心地悪くなるし。

本当にロクな事ないんだよね。一体何回、プーと一緒に仲直りの方法を考えたことやら。

えっ?結構楽しがってたんじゃないかって?……い、いやまあ最初はね。でも、何回もそうなると、いい加減うんざりしてきたよ。

……まあしかし、ネスはそんな奴だったけど、良い友達だったのには変わりない。

会えて一緒に冒険できて、本当に良かった。結局は、この一言に尽きるよね。

 

 

 

 

 

 

 

プーは……正直、最初は敬遠してたな。

何かこう……話しづらい雰囲気があったんだよね。王子の気品と言うか、威圧感と言うか。

だけど話してみたら、案外気さくだったんで、それからはよく話すようになったよ。

一緒にいる事も多くなったなあ。特に二手に分かれて情報収集するときなんか、決まってプーと組んでた。

……まあ、それにはあの二人をさっさとくっつけようって言う目論見もあったんだけどね。

でも、それを抜きにしても、プーとが一番気があってたのかもしれない。

気がつけば普段も、話していたのは常にあいつだったし、戦闘中も決まって近くで戦ってた。

何でここまで気が合うようになったんだろう?と時々考えてたけど、今になって何となく分かった気がする。

多分、お互いに未知な存在だったんじゃないかな。

僕はランマの事は殆どと言っていいくらい知識がなかったし、プーも科学のついての知識は乏しかった。

だから、互いに互いの話を聞いて……興味を持った。それがいつの間にか、友情につながったんじゃないかって、僕は考える。

……いや、こんなのは屁理屈だな。プーとは一緒にいて楽しかった。それだけで十分かもしれない。

不思議だよなあ、名前しか聞いた事のない国の人と、たった数ヶ月で友達になるなんて。もっとも、これはネスやポーラにも言えるけどね。

ああそうそう、今度ランマに招待するって、プーから手紙が最近届いてたな。

何でも、『科学技術についての事を、俺やランマの人々に色々と教えてやって欲しい』だそうだ。

その代わり『ランマの仕来たりを、詳しく教えてやる』ってさ。

…って、話してて思い出した!僕、今その時の原稿を作成している最中だった!!ご、ごめん!話はこのくらいって事で!!

 

 

 

―――――みんなとの出会い。これはきっと、一生の宝物だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間の事について?…・ええ、いいわよ。話してあげる。

今でもしっかり覚えてるわ。……みんなとの思い出は。

 

 

 

―――――語り手・ポーラ

 

 

 

ジェフは……やっぱり、その頭脳明晰さが頼りになったわね。

私とネスにとっては、ただのガラクタでしかなかった物体も、ジェフにかかれば一晩ですっごいメカに早変わり!

あれにはホント驚いたわ。……まあ欲を言えば、私達にも、そのメカを使わしてくれたら良かったんだけど。

他にもスリークの人じゃどうしようもなかった、スカイウォーカーもあっという間に直しちゃうし、くたびれたサブマリンも問題なし!

……いったい、何をどう勉強したら、あんな風になれるのかしら?

でもね、やっぱり寮生活で男友達しかいなかったせいかなあ?出会ってから暫くは、あまり私と話してくれなかったのよ。

どれくらいかって?う〜〜〜ん、フォーサイドに着くまでかしら?良く覚えてないけど。

話すようになったきっかけは……そうね、ネスとの喧嘩かしら。

ちょっとした事で言い争いになっちゃって、直ぐに後悔したんだけど、どう謝っていいか分からなくて。

それでジェフに相談したの。そしたら、とってもいい案を出してくれて……上手くネスと仲直りできたの。

あの時は心から感謝したわね。それから段々ジェフとも話すようになったの。……えっ?どんな案だったって?……そ、それは秘密!

と、ともかく!ジェフは私のいい相談相手だったわ。勿論、ネスやプーも相談に乗ってくれないわけじゃなかったけどね。

でもやっぱり、頭のいい人の性分なのかしら?困ったことに博物館とか図書館とかに行くと、何時間も出ようとしないのよね、ジェフって。

あれには本当に参ったわ。特にサマーズにあるスカラビ文化博物館!

何だかとっても気に入ったみたいで、三時間もず〜〜〜〜っと展示物見てるのよ。信じられる!?三時間よ三時間!!

もうっ!今思い出しても頭にくるわ!ネスや私が早く出ようって言っても、『もう少し、もう少し』って繰り返すだけだし。

その癖、その後の私の買い物の時は、『早くしてよ』って急かすのよ!?まったく、たかが四時間じゃないの!!

……えっ?どっちもどっち?ネスが一番かわいそう?……コ、コホン、まあ……そうかしらね。

まあ、なんだかんだ言っても、ジェフはいい人よ。それだけは間違いないわ。

 

 

 

 

 

 

 

プーは……やっぱり一番年上ってだけあって、頼れる人だったかしらね。

色々知識も豊富だったし(ただし科学の分野以外でね)、戦いにしたって、PSIの扱いとか凄かったし。

でも、そんな事を鼻に掛けたりしなし、とっても慎み深かったのよね。ランマじゃ女の子に人気があるって言うのも納得できるわ。

私も時々カッコイイって思った時もあったわ。特にあの時は本当カッコよかった。どんな時って?

私達がゲップーって言う、とんでもなく下品なモンスターに苦戦してた時、颯爽と空から舞い降りてきて、

修行して覚えたっていう『星を落とす方法』PKスターストームでアッサリと撃破した時!

正に王子様って感じだったわ。う〜〜ん、今思い返しても、あの時は感激したわねえ……

ハアッ……ネスもあれくらいの事してくれたら……っ!?あ、ゴ、ゴメン気にしないで!

え、えっと他には……そうそう!プーは確かに強くて頼りがいあったけど、一つだけ困った事もあったのよ。

それはね、ズバリ重度の偏食家だったって事。せっかく私が腕を振るって手料理作ってあげても、全然食べてくれないのよね……

『スパゲッティ』はパスタが駄目だって言うし、ライスが入ってればいいのかと思って『ドリア』も作ったんだけど、これも駄目。

『ハンバーガー』や『ピザ』なんてファーストフードは論外だし、飲み物もジュースやコーヒーは一切駄目。勿論お菓子も。

と言うわけで、プーの食事はいつも、『やぎバターがゆ』か『悟りの弁当』にお水。こればっかり。

何でも、ランマの料理以外は、食べるとお腹壊すんだって。

でも『悟りの弁当』はともかくとして『やぎバターがゆ』は、あんまりお腹にいい料理とは思えないんだけどねえ……

初めて食べた時、ネスとジェフは美味しそうに食べてたけど、私には美味しいとは思えなかったな。

だけどプーに悪いかなって思って、無理して全部食べたら、翌日お腹の調子が……わ、笑わないでよ!大変だったんだからね!!

やっぱり異文化理解って難しいわよね……特に、食文化に関しては。

でも、やっぱり友達の国なんだから、しっかり理解しておかなきゃ失礼よね。今度また、ランマに招待してもらおうかしら?

 

 

 

 

 

 

ネスは……えっと……うん……私の一番の人、ね。

今でも覚えてる。冒険が始まる少し前に見た夢……ネスと出会って、色々な所を巡る夢。

それから何度か同じ夢を見たけど、ネスが誰なのか、何故こんな夢を見たのか、全然分からなかった。

だけど、その後すぐに、ハッピーハッピー教に攫われて、私は夢を信じてまだ会ったことも無いネスに、テレパシーで呼びかけてみた。

そしたら……本当に来てくれた。息を弾ませて全身傷だらけで、それでも強い意志を帯びた瞳を持ったネスが。

『大丈夫!?』ってネスが尋ねてきた時、私は無意識に涙を流していた。その時に初めて、私は自分が攫われて心細かったのを自覚したから。

ううん、それだけじゃない。初めて聞いたネスの声は、とても優しくて……温かい声だった。

今でも、あの声を聞くと心が癒される。……もしかしたら、あれも超能力なのかも知れないわね。

それからネスに助けてもらって、パパとママの所に戻って、そして一緒に冒険に出た。色んな事があったわね、それからも。

辛いことも楽しいことも、どちらも同じくらい一杯あったけど、どんな時にもネスは傍にいてくれた。

勿論、喧嘩する事もあったけど、それよりも一緒に笑ってる事の方がずっと多かった。その時から分かってた、私はネスが好きなんだって。

それなのに、冒険が終わって、またみんなバラバラになる時、私はネスに言えなかった。……『好き』って。

『言いたい事があったけど忘れちゃった。また今度思い出したときにね』……そう言って、私は逃げた。何でかって?……私にも分からない。

言いたくて言いたくて……でも、そう言う気持ちが強くなれば強くなるほど、中々言い出せなくて……会いにいけなくて……

そうこうしてる間に、あっという間に月日は流れて……気がついたら、もう半年が過ぎていた。

このままじゃいけない!って思って、ネスに会いにいこうとしたら……彼の方からやってきてくれた。

『そろそろ思い出した?言いたかった事』

その言葉を聞いて、私はいつのまにかネスに抱きついていた。そして、突然の事に驚いてオロオロしてる彼にこう告げた。……『好き』って。

そしたら、ネスは軽く笑って私を抱きしめ返してくれて……それから……えっ?何?

……惚気はもういい?胸焼けがしてきた?……な、なによ!そっちが聞きたいって言ったんじゃない!!

……何よ?まだ何かあるの?……えっ?そろそろ約束の時間じゃないのか?……!!??

いっけない!ネスの家に行くんだった!!あ〜どうしよう!?まだ服決めてないし、髪もまだ梳かしてないし……もうっ!!

……え?別にそんな着飾らなくたって、ネスは構わない?だから、そのままでいい?……そうかしら?……分かったわ、ありがと。

で、でも遅刻だけはしないようにしないと!そ、それじゃあ!!

 

 

 

 

―――――――神様、みんなと出会わせて下さって、本当にありがとうございました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間の事について?……うん、いいよ。話せる事はたくさんあるし。

だけど、ちょっと長くなるよ、いい?……わかった、それじゃあ……

 

 

 

――――――語り手・ネス

 

 

 

 

プーは……う〜〜〜ん、色々と不思議な仲間だったなあ。まあ、やっぱり住んでる国が、あの神秘の国ランマだからね。

何回か足を運んだけど、本当にあの国はこう……なんて言うか……本当に神秘的っていうのかな?とにかく、そんな国だった。

だからと言うか当然と言うか、プーも何だか神秘的に感じがして、例えるなら神様みたいだった。

いつも落ち着いてて、時々すっごく先を見据えた事を言ったり、戦いになったら滅茶苦茶強かったり……

でも、だからって話しづらいとか、そういう事は全然無くて、色んな事を雑談して笑い合った。

今にして思えば、『お兄さん』って、プーみたいな人の事を言うのかもね。本当にプーは、頼りになる奴だった。

……でも時々、何か変な時があったんだ。

怖い目で僕を睨んできて、『どうしたの?』って尋ねたら、『……いや、なんでもない』ってそっぽを向いて、ギュッと拳を握るんだ。

あれは何だったんだろう?……何かを必死に押さえ込もうとしてるみたいだったけど。

えっ?本人に聞いてみたらよかったのに?……そりゃあ聞いたさ。だけどいつも、『……気にするな』って言うだけ。

本当に何だったんだろう?今度聞いてみよっかな。どうせ、今度ポーラと一緒にランマに行くんだし。

そうそう、ランマの料理って結構美味しいんだよ。特に『やぎバターがゆ』は僕のお気に入り!いいよなあプーは、ああいうの毎日食べれて。

……いや、違うな。プーの場合、ああいうのしか食べれないんだ。

本当、損な味覚してると思うんだよなあ。『ハンバーガー』や『ピザ』が食べれないなんて。

旅の間、何度も進めてみたんだけど、コレばっかりは体質なのかな?全然食べれるようになれなかった。

ああでも、『ハンバーグ』は食べてたな。後、『まめのコロッケ』とか『こんがり串焼き』とかも。

……要するに、パンが駄目なのかもね。確かに、ランマの料理にパンは使ってなかったし、未知の食べ物なんだろうな、きっと。

う〜〜ん、何とか食べれるようになって欲しいんだけどな。やっぱり友達だし、一緒の物を美味しく食べたいじゃん?

みんな集まって、パーティーする時とかさ、そういう時に。……よし!今度『ハンバーガー』を持って行って、プーに食べてもらおう!

 

 

 

 

 

 

ジェフは……とても同い年とも思えなかったなあ。

何でかって?そりゃあ勿論、僕とは比べ物にならないくらい頭が良いからだよ。

さっぱり訳の分からないメカなんかも、さも当たり前の様に使いこなすし、色んなガラクタもすぐに直しちゃうし。

ああそれに、結構雑学の知識もあるんだよね。色んな事知ってたし、面白い話もたくさん聞かせてもらった。

……本当、あれだけ頭が良いと羨ましいよね。テストとかで泣きそうになった事もないんだろうなあ……ハアッ。

勿論、ただ頭が良いってだけが、ジェフの良いところじゃないよ。とっても勇敢な奴でもあった。

本人は初めて会ったときの自己紹介で『怖がり』なんて言ってたけど、僕はジェフをそんな風に思ったことは一度も無い。

だってもし本当に怖がりだったとしたら、まだ会ってもない仲間のために、一人で冒険に出掛けようなんて事しないもんね。

自分の事はすぐに過小評価する癖があるからなあ、ジェフは。もっと自分に自身を持ってもいいと思う、頭脳の事意外にも。

ただ……え〜〜と一つだけ困った癖があったんだよね、うん。

アンドーナツ博士も……ああ、ジェフのパパの事ね。その人も言ってたけど、確かにあれには困った。

それはね…………ゴメン、これはやっぱり言えないよ。ジェフの名誉のために、これは聞かないであげて。

……そうだ、もう一つジェフの困った癖があったよ。こっちは話しても問題ないからね、こっちを聞かせてあげるよ。

何かって言うと……ジェフは何かに付けて、僕とポーラを二人っきりにさせようとしてたんだ。

本人はきっと気づかれてないと思ってるんだろうけど、てんでバレバレなんだよな、ったく。

レストランとかで食事する時も、絶対最初に席とって、僕達を横に座らせるし、二手に別れて行動する時も、決まってプーと組んで僕達を……

……今思えば多分、プーもグルだったんだろうな。ともかく、こんな事ばっかりしてきてたんだよ。

ああ、一回ホテルも二人で同室にさせられそうになった事もあったっけ。あの時は流石に僕もポーラも猛抗議したなあ……。

えっ?それで断ったのかって?……い、いや、それは……その……うん、まあ……あれだよ、うん。

……と、ともかく!!ジェフはいい奴だったけど、これだけは止めて欲しかったな。

…………まあでも、今にしてみれば、それもいい思い出かもね。

 

 

 

 

 

 

ポーラは……一番大切な人だな、僕の。

あっ、勿論ジェフとプーも大切な人だよ?世界中の何処を探したって、あの二人の代わりになる人なんかいない。

だけど……ポーラはそれ以上に大切な人なんだ。言葉じゃ上手く言えないけど、誰よりも……何よりも。

最初の出会いの事は、今でもハッキリ覚えている。夢の中に聞こえてきたポーラの声を頼りに、グレートフルデッドの谷を越えて、

ハッピーハッピー村の裏にあった山小屋を見つけて……そこでポーラと出会った。

僕がネスだって言うと、ポーラは喜んで笑顔になって、それから泣き出した。……あの時は大慌てだったよなあ。

その後ポーラを助けて、一緒に冒険の旅に出た。……それからのポーラとの思い出は、数えだしたらキリがない程沢山あった。

一緒に笑い、そして悲しみ、時には喧嘩もした。それはジェフやプーも一緒だったけど、やっぱりポーラとが一番多かったと思う。

誰よりも僕の傍にいる……ポーラはそんな女の子だった。

だから、ポーラがデパートで誘拐された時、僕はどうしようもない不安と憤りを感じた。

あの時程、自分が嫌になった事は今までに無かった。ポーラを守れなかった後悔と虚しさ、それに怒りが心の中で渦巻いて、酷く荒んでた。

それから暫くして、無事だったポーラと再会した時の喜びと安堵は、例えようがないくらいに大きかった。

……思えば、あの時ごろかな?ポーラが僕にとって、単なる仲間ではないように感じ出したのは。

だけどあの頃の僕には、それ以上は分からなかった。自分のポーラに対する本当の想いを見つけたのは、冒険が終わった後。

お別れの時に、ポーラはこう言った。『言いたい事があったけど、忘れちゃった。また今度思い出したときにね』って、どこか寂しそうな笑顔で。

それから僕は、毎日の様にその言葉を思い出し、ポーラは何が言いたかったんだ?と悶々と悩む日が続いた。

そして、ちょうど半年程たった頃、僕は我慢できなくなってポーラの元へ訪れた。

『そろそろ思い出した?言いたかった事』

僕がそう言うとポーラは……その……いきなり、抱きついてきて……それから……え〜〜〜〜〜と……

……ま、まあ、あれだよ。ちゃんと「言いたかった事」を言ってくれたんだ。えっ?何かって?……た、大したことじゃないよ、うん。

…………い、いや、本当にそんな話す程の事じゃないんだって!……あ!ぼ、僕これからポーラと約束してるんだ!じゃあね!!

 

 

 

―――――――みんなとの出会いを、僕は忘れない。これからも……ずっと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

 

 

久々のMOTHER2小説。メインの四人が他の仲間の事を、身近な誰かに語っている、というものです。

個人的にあの四人はこんな感じなんじゃないかなあと……関係とか、気持ちとか。

……・しっかし、久々すぎてキャラの書き方を忘れてて、完成させるのに苦労しました(物書きとして失格)

駄文ですが、お読み頂いてありがとうございました。では。

 

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