【用語】

<神>

人間の力を遥かに超えた存在。想像上の動物の姿をしている場合が多い。よって、『神獣』とも呼ばれる。

但し、基本的には精神体(姿の無い存在だけの状態)でいる事が多く、姿を見せる事は滅多に無い。

神の存在を人間が感じる事は出来ない(無論、例外はある)但し、神は意図的に存在を人間に感じさせる事が出来る。

神と呼ばれるが、その思想・性格は様々で、その点は人間と同様。

食事をする事は無いが、睡眠をとる場合はある(生きるのに必要な行為ではなく、純粋に疲れた時等にとる)

また、生物と同じ様に『死』の概念もあるが寿命はなく、殺害されない限り永遠に生き続ける。

神が死んだ場合、その神と同じ能力を持つ新たな神が生まれる様になっている(同じ存在ではなく、別の存在)

単体でも凄まじい力を有するが、人間と神化する事で更に大きな力を発揮する事が出来る。

 

<神化>

人間と神の融合。

神化した人間は、その神と会話をしたり、神の能力を使う事が可能となる。

得られる能力の強さは、その人間の資質より神との相性に関係が深い。また、必ずしも優秀な人間ばかりが神化の機会を得るとは限らない。

この様に融合とは言うが、姿形が変わる訳ではなく、精神が混ざる訳でもない。

よって融合というよりかは、『精神的に同棲する』という表現が正しい。その為、神化後も人間と神が別々に行動する事も可能である。

しかし、離れている時に人間は神の能力を使う事は出来ない。また、あまり長時間離れていると、双方共危険な状態になってしまう。

人間である限り、年齢・性別・人種を問わず誰でも神化する事は可能。

基本的に神から人間へと持ち掛けるのが通常で、逆は極稀である。承諾は任意だが、大概は承諾する人間が多い。

神化するのに必要な条件は、『誓約』を交わす事である。

絶大な力を得る反面、周りから切り離される事も多い為、人間にとって神化は非常に大きな意味合いを持つ。

 

<神士>

神化した人間の通称。

一口に神士と言っても生き方は様々で、能力を隠して生きている者も多い。無論、普通でない生活をしている者もいる。

神士が神の能力を使う場合及び神器を使う場合、『神力』が必要となる。

神力とは言わば精神力の事で、その量は人によっては勿論、同じ者でも精神状態において大きく左右される。

能力の無茶な酷使や精神不安定な状態では神力が十分ではなくなり、その時に能力を使うと身体に様々な悪影響を及ぼす。

その影響の表れ方は人によって異なるが、風邪の症状に似た物(発熱や頭痛)が殆ど。当然、それもその時によって度合いが変化する。

また、神力は鍛える事が出来ない為、神士は修行といった事には無縁である。

尚、一度神士になると神化している神の意思がない限り、普通の人間には戻れない。

 

<誓約>

神化する際に、人間が神に誓う約束事。これを遵守する事が、神士にとって唯一絶対の掟である。

一度決めた誓約を変えられず、破った場合は例外無しに死を迎える事になる。

誓約の内容は様々だが、『特定の何かを禁ずる』という物にしている神士が大半である。

 

<神器>

神が各々持っているとされる武具。

持っていると言っても神が所持している訳ではなく、何処かにある遺跡・神殿等に祀られていて、それを神が封印にしているに過ぎない。

また、持ち主である神が死んだ場合、神器は一度消滅し、元あった場所へと戻る。その際、神と同じ様に能力・姿も別な物に変わる。

神自体が神器を使う事は無く、使用するのはその神と神化した神士である。

尚、神器はその所有者である神と神化した神士のみが使用でき、仮に他の神士が使ったとしても本来の能力は引き出せない。

 

<神士連合>

神士によって構成される、非公式治安維持組織で『神連』と通称される。数少ない、神士を全面的に迎え入れる場所。

国家等といった団体が作り出した物ではなく、大半が個人の意思によって作り出された物で簡単に言えば、大規模な自警団である。

その際、神連を作る者が神士であるとは限らず(むしろ普通の人の場合が多い)神連内にも、一般人は少なからず所属している。

全世界に多数存在し、それら全ては各々独立している。主に神・神士が絡む犯罪・事件の処理を行う。

構成する神士という自体が一般的でない上、非公式な組織なので社会から認められているとは言い難い組織である。

但し、その社会的貢献度は各神連に差異こそあれ、決して低い物ではないとされている。

因みに、どの様な神・神士を処理の対象とするのか、更にどう処理するのか、といった事は各神連によって異なり、明確にはなっていない。

それが原因で、神連同士の争いもしばしば発生している。勿論、例外として友好的な関係を築いている場合もある。

 

 

【主要土地】

<剣輪町>

とある地方にある町。町とは言うが、本質的には村と言っても差し支えない田舎。

一応、学校や店、病院といった一通りの施設はあるものの、数は少なく規模も小さい。

その分、自然が多くて四季折々の景色も楽しめ、農作物にも恵まれてるので、そういう点では住みやすい町とも言える。

町の中央にあるゲームセンターは、町の唯一の娯楽場。学校帰りの学生等で、連日賑わっている。

この様な状況の為、犯罪や事件には縁が薄く、神や神士についても御伽話と思ってる人が多数。

ある意味、周りから切り離されているとも言うべき平和な町である。

神士連合はゲームセンターの地下にあり、(平和な雰囲気を無闇に壊さない為)人々の目に触れない様にしている。

また、刀廻町の神士連合とは友好な関係にある。

 

<刀廻町>

剣輪町から少し離れた所にある町。こちらはオフィスビルが立ち並んでいる等、それ相応の町である。

施設も充実してるので住みやすいといえば住みやすいのだが、治安はあまり良くない。

また、神士に関わる事件も非常に多く、住人は日々不安を抱えて生活している。

この様な状況の為、神や神士については町の大部分が存在を認識している。

神士連合も町の中心部に堂々と立てられていて、規模もかなり大きい。また、町からの寄付金もあり、運営はとても好調。

この様に町から存在を認められている神連は、世界的に見ても非常に稀である。

剣輪町の神士連合とは友好関係にあり、大きな事件の際には神士を要請する事もある。

 

 

【主要人物】

<武真 雄一(たけさな ゆういち)>

20歳。神士。剣輪町の神士連合所属。出身も剣輪町である。普段は町の大学で普通の学生として暮らしている。

ボサボサの黒髪で、首からぶら下げている青い龍のキーホルダーがトレードマーク。瞳の色は蒼。

性格は温厚な方だが、やや非社交的。積極的に他人と関わろうとはしないが、知人には相応の態度で接する。

神士としての実力は文句なしの一流で、幼い時から様々な事件を処理してきた。

それに伴って、多くの町を転々としていたが、故郷である剣輪町が彼にとって一番の町(辛い過去の傷がある事を踏まえても)であり、

これからはずっとここで生活していきたいと強く思っている。

現在は剣輪町の一軒家で生活していて、一人暮らしだが、頻繁に好野が訪ねてくる。

神士での間では名の知れた存在で、使う『神器』が刀である事から『覇王剣士』という異名を持つ。

『神牙一閃流』という剣術(とはいうが、これは雄一と『神龍』が勝手に名づけたもので実際には我流)で戦い、

その名が示す通り、一閃の如き一撃で敵を倒す事が多い。使う技もそれに準じていて、大抵が一撃技である。

神化している『神龍』とは、友人の様な関係。日常生活でも、かなり気楽な付き合い方をしている。

彼の『誓約』は、『人を殺さない』と言う物で、故に彼はどんな罪を犯した神士であろうとも殺める事は無い(神については、その限りではない)

繚奈からは『神同士の因縁は、神士同士の因縁』という事で、何かと勝負を挑まれ、何度も引き分けている。

その一方で協力して事件の処理をする事もあり、非常に不安定な関係を築いている。

彼はこの事に対してはかなり戸惑っていて、この因縁が無くなる事を望んでいる。

好野とは実の親子なのだが、本人はその事を知らずに養子だと思っており、『好野さん』と呼び等といった他人行儀で接している。

光美は小学生の頃の同級生で、短い間ではあるが良い友達であった。

しかし、とある事件により彼女の左頬に傷をつけてしまい、そのまま剣輪町を離れてしまった過去がある。

この事は彼にとって、深い心の傷となっている。

 

<上永 繚奈(かみなが りょうな)>

20歳。神士。刀廻町の神士連合所属。出身は刀廻町だが、思春期は剣輪町で過ごしていた。

シングルマザーで息子の輝宏と一緒に暮らしている。少々癖毛の茶髪で、いつも付けている真っ赤な雫の様なイヤリングが特徴的。瞳の色は紅。

性格は少々きつめで険しい表情が多い。初対面の相手には、特に冷たく接する。逆に気心の知れた相手には、とても献身的。

また幼い頃、父親の浮気によって家庭崩壊になった過去があり、男とはあまり関わらない(嫌いなのではなく、言うならば怖がっている)

神士としては、まだ経験が浅いにも関わらず、既に雄一と同じく超一流の腕前。

使う『神器』は雄一と同様に刀であり、『幻妖剣士』という異名で呼ばれる。

『邪爪連殺流』という剣術(こちらは雄一とは違い、神器と共に保管されてあった古文書に記されていた正式な剣術)で戦い、

高速の連続攻撃を得意とする。使う技も同様で、連撃が多い。

神化している『邪龍』とは姉妹の様な関係と言え、礼儀と節度ある付き合いをしている。

基本的に殺生は好まないが、別段『誓約』を交わしている訳ではないので、必要と判断した場合は神士の命を奪う時もある。

そんな彼女の『誓約』は、『純潔を貫く』である(輝宏は、人工授精による出産)

古来より『邪龍』は『神龍』と深い因縁があり、その為に繚奈は雄一を異様に敵視している。

但し、所属する神士連合同士が友好関係である為、不本意ながらも協力する時もある。

輝宏は一人息子にして、掛け替えの無い存在。彼の前では、別人とも言うべき優しい表情をする。

光美とは中学&高校でのクラスメイトであり親友。現在でも頻度は減ってはいるものの、交流は続いている。

たが、繚奈は光美に対して、ある罪悪感を抱いており、それが日々彼女に苦悩を与えている。

また、左頬の傷については一切の事を知らず(誰にでも言いたくない事がある、という考えにより聞いていない)雄一との関係も知らない。

 

<清沢 光美(きよざわ ひかみ)> 

20歳。普通の人間。剣輪町生まれの剣輪町育ち。雄一と同じ大学の学生(但し、両方ともその事を知らない)

腰まである真っ直ぐな黒髪が印象的で、右腕に青い石のブレスレット、左腕に赤い石のブレスレットをいつも付けている。瞳の色は紫。

容姿は整っているのだが、左頬にある大きな刀傷(雄一がつけた物)のため、周りから浮いた存在と見られる事が多い。

性格は快活で優しく、そして世話好き。前向きではあるが、一度後ろ向きになると立ち直るのに時間がかかる。

その様な自分を好ましく思ってないせいか、無理してでも明るく振舞いがちで、心身ともに自分を追い込みやすい一面がある。

両親は高校生の頃に事故で他界しており、現在は一人暮らし。

雄一とは小学生の頃に出会い、よく一緒に遊んでいて、仄かな好意も抱いていた。しかし、とある事件により彼に左頬を斬られ、現在に至る。

その傷は治せない物でもないのだが、『何も言わずに目の前から去った雄一の事を忘れない為』という思いで彼女は残している。

当然、彼の親である好野の事も知っているが、殆ど面識が無かった為、かなり記憶が薄れている。

繚奈は目立つ傷がある自分と自然に関わってくれた数少ない人物で、親友。違う町に住んでいる今でも、時折会って話をしている。

しかし、以前と何か態度が違う繚奈に少し不思議に思っている。彼女の息子である輝宏とも仲良し。

尚、雄一と繚奈が神士である事は知らない。(雄一については過去の事件により、何か特別な力を持っている事には気づいている)

二人の因縁についても、完全に無知である。但し、『神』の存在及び神士については、多少ではあるが知識がある。

 

【その他の人物】

<武真 好野(たけさな よしの)>

46歳。雄一の母親で、剣輪町の神士連合に所属しているが、普通の人間である。連合の中では、かなりの権力を持つ立場。

主に雄一の関わる事件のバックアップ・事後処理を担当。生活面でも住居の手配等を行い、彼を支えている。

正真正銘、雄一の母親であるにも関わらず、彼には自分が養親であると伝えており、周囲にも血の繋がりは無いと公言している。

これは過去のある出来事が原因で、自分には母親を名乗る資格は無いと思っている。

かつては雄一を立派な神士にしたいと、大きな事件を優先して回し、経験を積ませていた。

しかし、それが結果的に彼の心に深い傷(光美との一件)を残す事になり、その反動故か現在は少々過保護気味。

繚奈については雄一から話に聞いた程度の事しか知らず、因縁についても『当人同士で解決しなければならない事』と別段気にしていない。

だが、内心はやはり不安な面もある様で、二人が戦う事を好ましくは思っていない。

光美の事は過去の件から良く知っており、例の傷についても責任を感じている。

また彼女が息子に向けている想いも昔から知っており、願わくばそれが届く様にと考えている。

 

<上永 輝宏(かみなが きひろ)>

1歳。繚奈の息子。母親譲りの茶髪で、大の母親っ子。父親がいない事もあり、繚奈も彼を過保護にしている。

人工授精によっての誕生だが、別段異常がある訳でも無く、健やかに成長中。人懐っこく、大抵の人は怖がらない。

光美とは面識が有り、彼女の事は母親と同じくらい好き。尚、神士の能力は遺伝するものではないので、彼は普通の子供である。

 

【神】

<神龍>

雄一と神化している神。文字通り東洋の龍の姿をしており、全長数十メートルにも及ぶ巨体である。

但し、現在は雄一と神化しているので、姿を見せる事は全くと言っていい程無い。

性格は気さくで楽天家。話し方も青少年風で、威厳は微塵も感じられない。それ故、雄一とは気心の知れた友人の様に接している。

自然界の力を自在に扱う能力を持ち、その強さは神の中でも最上位に位置する程である。

ただ、その様な強大な力を持つ反面、この力を使うのに必要な神力の量も尋常なものではない。

『邪龍』とは正反対の力を持つ者同士であり、互いに相容れない存在である。故に、古来より戦わなければならない運命にあるとされてきた。

事実、先代の『神龍』と『邪龍』も、神士を巻き込んでの戦いの末、共に命を落としている。

しかし、『神龍』はこの様な因縁を快く思っておらず、『邪龍』とも出来れば戦わないで済めばと思っている。

また、雄一を巻き込もうとも思ってなく、どうしても戦う事になった時は彼との神化を解除し、自分だけで戦う気である。

 

<邪龍>

繚奈と神化している神。外見は『神龍』と瓜二つであり、違うのは体の色と眼の色だけである。(『神龍』が青で、『邪龍』が赤)

『神龍』と同様、姿を見せる事は基本的に無い。

性格は厳格で理知的。威厳に満ちた口調で喋り、神としての貫禄は十分。繚奈に対しては姉の様な態度で接している。

魔界(死の世界)の力を扱う事が可能であり、神としては『神龍』とほぼ互角の強さを持っている。

その力を使うのに必要な神力も並大抵のものではないが、『神龍』に比べれば幾分マシである。

また、その名前と力から邪悪な神であると誤解されがちだが、世界の平和を願う心を持ち、決して悪しき存在ではない。

但し、『神龍』との古来からの因縁は頑なに守ろうとしており、敵意を隠そうとはしない。『神龍』と神化している雄一についても同様。

だが、自らと神化しているとは言え、我事の様に因縁に従い、彼らを倒そうとする繚奈に対しては内心複雑に思っている。

その事がきっかけとなり、最近ほんの少しではあるが、因縁に従う事が本当に正しいのかどうか悩み始めている。

 

【神器】

<龍蒼丸>

雄一が持つ『神龍』の神器。刀であり、刀身が蒼色である。普通の刀よりもやや長いが、重量は少し軽い。

現在、雄一は片手で軽々と振るっているが、幼い頃は両手で持つのが精一杯であった。

持ち主である雄一の意思により、切れ味が変化する特性を持つ。

従って、その気になれば大抵の物を斬る事が出来る一方で、全く斬れない状態にする事も出来る。但し、それには相応の神力を必要とする。

『人を殺さない』という誓約を交わしている雄一にとっては、非常に都合の良い武器であり、彼自身この神器に大きな愛着と感謝の意を示している。

 

<紅龍刃>

繚奈が持つ『邪龍』の神器。刀身が紅色の刀である。重量は非常に軽く、刀自体も少々短い。

その為、女性である繚奈でも扱いやすく、彼女は手にした時から容易く使いこなしている。

元から素晴らしい切れ味を見せるが、生物を斬る事に切れ味が増す特性を持ち、生命を奪った時には特に増大する。

但し、増した切れ味に比例して消耗する神力も増えるので、持ち主である繚奈に負担が掛かりやすい(彼女の戦い方も、これに拍車をかけている)

誓約を交わしていないにも関わらず、繚奈が殺生を嫌うのはこれが理由でもある。その為彼女は、必要時以外は峰打ちにしている。

このような事もあって、繚奈はこの神器に対してあまり好印象は抱いていない。

 

 

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