最終決戦〜Twilight Princess(第四話)

 

 

 

 

 

「はあっ!」

ゼルダ姫の放った光の矢が、ハイラル平原の遥か彼方にいるガノンドロフへ飛ぶ。

しかし、奴は危なげなくそれを回避すると、お返しとばかりにファントムライダーを召還し、こちらに向けてきた。

――――もう、何度目か分からない繰り返し。

リンクとゼルダ姫の顔に、焦りと疲労の色が少しずつ浮かび始めていた。

「くっ!……また……」

「あの野郎……! チョコマカと避けやがって!!」

ガノンドロフの馬術の腕前は、二人の想像を遥かに超えていた。

駆る黒馬の速さもさることながら、巧みにその馬を操り、意のままに草原を駆け巡る奴の技術は、見事というしかない。

これまで幾度となくゼルダ姫が放った光の矢は、一つたりとて命中せず、中空を駆けるばかりだった。

「ハア……ハア……ハア……!!」

「!?……エポナ!?大丈夫か!?」

次々に迫り来るファントムライダーを切り捨てていたリンクだったが、不意に息を切らし始めた愛馬に気づき、心配げな表情で叫ぶ。

(マズイな……そろそろエポナの体力が限界か!)

かなり長い間、走らせ続けていたのだから無理もない事だが、今はもう少し頑張ってもらうしかない。

忙しなく呼吸するエポナに、彼は激励の言葉を掛けた。

「すまねえ、エポナ! だけど、もう少しだけ……もう少しだけ踏ん張ってくれ!!」

「……」

そんなリンクの後ろで、ゼルダ姫は静かに唇を噛む。

(私が……私が、しっかりしなければ……!)

――――自分が光の矢を大魔王に命中させなければ、何一つとて始まりはしないのだ!

そう思い、再びゼルダ姫は弓を構え、光の矢を放とうとする。

しかし、そちらに気を回し過ぎていた為、彼女は何時の間にか自分の横に迫っていた、一体のファントムライダーに気がつかなかった。

「ガアアアッ!!!!」

「っ!? しまっ……!!……」

高速で迫る剣閃に、ゼルダ姫は思わず声を上げる。しかし、その剣閃が彼女に届く事はなかった。

次の瞬間ファントムライダーは胴体を真一文字に切り裂かれ、瞬く間に泡の様に消え失せる。その所業の主を、ゼルダ姫は呆然と見つめた。

「リンク……」

「心配すんな、ゼルダ姫!」

マスターソードを鞘に収めながら、リンクは励ます様な笑みで、後方の彼女に振り返る。

「アンタには掠り傷一つ負わせやしねえ!! だからアンタは、アイツに光の矢を撃つ事だけに専念すればいい!!」

それだけ言うと、彼は再び前を向き、エポナを駆ってガノンドロフを追いかけだした。

(リンク……ありがとうございます)

心の中で彼に礼を述べ、ゼルダ姫は、キッと遥か前方の大魔王を見据える。

(今度こそ………当ててみせる!)

確固たる決意を胸に、彼女は力強く弓を引き絞り、照準の合う機会を窺う。

しかし、不規則かつ素早い動きをガノンドロフに、中々狙いを定める事が出来なかった。

(くっ!……よく見るのよ!ガノンの動きをよく見て……!)

自分にそう言い聞かせつつ、更に弓を引き絞った直後だった。ゼルダ姫の頭の中に、聞き覚えの無い声が響く。

〔……待ちなさい。光の矢は……目で相手を捉え、放つ武具ではありません〕

(っ!?……だ、誰ですか!?)

思わず心の中で尋ねると、謎の声は彼女を諌める様に返事をする。

〔そんな事を気にしている場合ではないでしょう?……今は、私の言う事を聞くのです〕

謎の声はそう言うと、ゆっくりと諭す様に言葉を続けた。

〔光の矢を使いこなすのに必要なのは、肉体の力ではなく精神の力。瞳を閉じ……自らの意識が導くままに、矢を放つのです〕

(意識の導くままに……?そんな事が、可能なのですか?)

ゼルダ姫が疑問を投げかけると、謎の声は穏やかに言う。

〔大丈夫です。貴方と……貴方に手の甲に宿る、『神より授かりし紋章』の力を信じなさい〕

その声はまるで、我が子を言い聞かせる母親の様に、優しく胸の中に染み渡る。自分の敵ではない……ゼルダ姫は、そう判断した。

(……分かりました。誰かは分かりませんが、貴方の言葉を信用します)

コクリと頷いた彼女は、言われた通りに瞳を閉じ、静かに弓を構えた。

(自らの意識が……導くままに……)

謎の声の言葉を繰り返し、弓を引き絞る。

すると、瞳を閉じているのにもかかわらず、彼女はある一点が暗黒の気配が放っているのを、感じる事が出来た。

(!……ここ!!)

確信にも似た思いが、ゼルダ姫の心を満たす。そして躊躇いなく、彼女は光の矢を放った。

「……はああああっっ!!!」

ゼルダ姫の叫びと共に、光の矢がハイラル平原を駆け抜ける。

そのスピードは先刻までの物とは桁違いで、ガノンドロフの腹へ導かれる様に突き刺さった。

「なっ!?……ぐああああああああ……!!!」

苦しげに絶叫する奴を目にし、リンクとゼルダ姫は揃って喜びの声を上げる。

「「……やった!!」」

「……ぐうっ!」

光の矢の聖なる力に苦しみ、バランスを崩したガノンドロフは黒馬から転がり落ち、地面へと激突する。

そのまま暫く地に伏せていた奴だったが、やがてゆっくりと起き上がると、突如として天に仰ぎながら笑い声を上げた。

「……く、くく……くくく……ははははははははっ!!」

「……!?」

理解し難いその言動に、リンクとゼルダ姫はエポナを止めて黙り込む。

そんな彼らに向けて、ガノンドロフは不意に笑みを消し、その目に憎悪の炎を燃え滾らせながら言った。

「見事よ……だが、余興はそこまでだ!」

言いながら、奴は腰に携えていた剣――かつて、古の賢者達が己を処刑するのに用いた剣を、ゆっくりと鞘から抜く。

「我が望みは一つ……この忌まわしき剣をもって、全ての光を葬り去らん!!」

叫びながら奴が剣を振るうと、凄まじい風圧がリンクとゼルダ姫の顔にぶつかった。

それと同時に、今まで以上の殺気が自分達に向けられる。……どうやら、いよいよ本気になった様だ。

「……ゼルダ姫、エポナ。ここで待っててくれ」

小さくそう呟くと、リンクはヒラリとエポナから飛び降り、静かにガノンドロフへと歩み寄る。

「っ……リンク!」

「ヒヒーーーンッ!!」

慌てて彼の後を追おうとしたゼルダ姫とエポナだったが、彼に追いつく眼前で、大魔王が作り出した影の結界に行く手を阻まれた。

「……くっ!」

「ゼルダ姫……」

悔しそうに顔を歪めた彼女に振り返り、リンクは優しげな笑みを浮かべる。

「そこで見物しててくれよ。……俺が、アイツを倒す瞬間をな」

「……リンク……」

「そんな顔すんなって……心配は要らねえさ。俺は……必ず、勝つ!!」

叫びつつ、彼は真剣な表情になり、ガノンドロフを真正面から睨み付ける。そして、勢い良くマスターソードを鞘から抜いた。

「いい加減……片をつけようじゃねえか! ガノンドロフ!!」

「……フッ、よかろう。所詮、貴様如きが我に敵う訳が無いという事を……死を持って教えてやろう!!」

ガノンドロフの叫びに呼応する様に、突如として上空の暗雲から雷鳴が響き渡り、彼らの周りに禍々しい輝きを放つ。

その下で対峙する勇者と魔王は、まるでそれが合図であった様に、互いに猛然と大地を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はああああっ!!!」

「うおおおおっ!!!」

絶叫と共に振り下ろされた二つの刃が鋭い音を立て、リンクとガノンドロフは至近距離で睨み合う。

(くっ!……流石に、凄え力だ!!これが奴の本気って訳か……!!)

(ぬう!……成程、やはり神に選ばれたのは、偶然ではなかったという事か)

鍔迫り合いをしつつ、二人は互いに心の中で、不本意ながらも相手への賞賛の言葉を述べた。

そんな彼らの周りの自然が、まるで台風にでも巻き込まれたかの如く、狂った様にざわめき始める。

『神より授かりし紋章』を、その身に宿す者同士の激突。……それは、彼らと同じ者であるゼルダ姫にさえ、寒気が奔る程の凄まじさだった。

(……リンク……負けないで……)

祈る様に胸の前で両手を合わせながら、彼女は一心に祈る。と、その時、不意にリンクが後方へと身を退いた。

「!?……何!?」

「これはどうだああっ!!」

彼はそのまま大きく宙へと舞い上がり、全霊を込めてマスターソードを振り下ろす。

極めて単純な攻撃ではあるが、その分、速さと重さがあった。ガノンドロフは回避が間に合わず、咄嗟に剣を横にして斬撃を受け止める。

「ぐ……ぐぐぐぐぐっ!!」

必死の形相で、ガノンドロフは苦しげに呻き声を上げる。そんな奴に対して、リンクは更に剣に力を込めながら叫んだ。

「……うああああああああああっっ!!」

それにより更に力を増した彼の剣に、ガノンドロフはとうとう押し切られ、その右肩に一筋の傷をつけられる。

「うぐあっ!?……お、おのれ……!!」

致命傷……とはまるで言えない物はあったが、大魔王のプライドに傷をつけるのには、十分な物だった。

それを見たリンクは得意げな顔になり、奴に向けて声を飛ばす。

「どうだ、ガノンドロフ!!今のは効いただろ!!」

「貴様……!よくも我に、傷を負わせてくれたな!!」

刹那、自らの周囲にとてつもない邪悪な気を発しながら、ガノンドロフは憤怒の表情に顔を歪ませる。

「っ!?……ぐっ!! こ、これは……」

「許さん……許さんぞ! 貴様はああああああっっ!!!」

奴はそう絶叫すると、たじろいでいるリンクに向けて、猛然と攻め寄った。

「っ!?」

「うおおおおおおおおおおおっっ……!!!」

物凄い膂力で振り下ろされたガノンドロフの剣を、リンクは寸での所で受け止める。

「……くうっ!」

「思い知るがいい! 絶対なる力を完全に支配した我に、貴様が勝てる道理などないのだ!!」

「うっ……ち、ちきしょう!……な、なんて力だよ……!?」

高らかに吼える大魔王の圧倒的な力を受け、彼の身体はジリジリと後方に下がっていく。

その直後、足元の地面が大きく減り込み、リンクは思わず体勢を崩した。

「うわっ!?……しまっ……」

「もらったあああああああっっ!!!」

隙だらけとなった彼に対して、ガノンドロフは先程の礼とばかりに、剣をその肩目掛けて振り下ろした。

「がはっ……!!」

「っ……リンク!!!」

途端、リンクの肩からおびただしい量の血が飛び散り、ゼルダ姫は思わず彼に向かって叫ぶ。

しかし、それに彼が返事をする前に、再びガノンドロフが動いた。

「これで終わりと思うな!!」

巨体に似合わない軽やかさで身を反転させ、強烈な蹴りがリンクの腹へお見舞いする。

「……ぐっ!!」

早く重いその蹴りに、彼は苦痛に顔を歪ませ、大きく後方へとよろめく。

どうにか転倒は免れたもの、喉元にまで込み上げてきた吐き気を強引に飲み込む事に必死だったリンクは、大きな隙を晒してしまった。

「くそ……っ!? 奴がいない!?」

やっとの思いで体勢を立て直し、キッと前方を睨み付けた彼であったが、視線の先にガノンドロフの姿がない。

驚いて動きを止めたリンクの後ろから、ゼルダ姫の悲痛な叫びが聞こえた。

「っ……リンク! 後ろです!!」

「何っ!?」

彼女の叫びに、彼は咄嗟に後方へと振り返る。だが、全てはあまりにも遅すぎた…………。

「死ね!!」

ガノンドロフの剣が、容赦なくリンクの背中を斬りつけ、彼は微かな呻き声と共に地へ伏せる。

「!!……ぐ……あ……」

「リンクッ!!」

ゼルダ姫が叫ぶその中で、斬りつけられた彼の傷から夥しい量の血が噴出す。

その血の海の中にゆっくりと沈んでいくリンクを、ゼルダ姫は半ば放心状態で眺めつつ、呆然と呟いた。

「そ……そんな……リン……ク……」

「終焉だな」

軽く笑いながら、ガノンドロフはそう呟き、くるりとゼルダ姫の方へと向き直る。

それを見てハッとした彼女に、ガノンドロフはゆっくりと歩み寄りながら言った。

「次は貴様の番だ、ゼルダ姫。この世に、神の力を持つ者は……我一人で十分だ!!」

「くっ……!!」

少しずつ近寄ってくる奴に対して、彼女は表情を強張らせ、光の矢を構える。

そして、ガノンドロフが影の結界を解こうとした………その時だった。

「……待……てよ……ガノン……ドロフ……!」

「えっ?」

「!?……何!?」

驚いたガノンドロフが振り返ると、そこには満身創痍になりながらも、瞳に強い意志を宿らせ、立ち上がるリンクの姿があった。

「まだ、勝負はついてねえ……気を抜くには早すぎるぜ!!」

(……リンク……よかった……)

心の中で安堵の溜息をつくゼルダ姫の前で、ガノンドロフはリンクに問いかける。

「バカな!?……不死身か、貴様!?」

その問いに、彼は荒い息をつきながら、笑みを浮かべた。

「さあな。何で生きてんのかは、俺にも分かんねえよ。けど、ひょっとしたら……これが俺の『神より授かりし紋章』の力なのかもな!!」

そう叫び、マスターソードを構えた彼の左手に、くっきりと三角形の紋章が浮かび上がる。

それを見たガノンドロフは、苦々しげに唇を噛んだ後、吐き捨てる様に言った。

「ちっ、死に損ないが!大人しく寝ていれば楽になれたものを……そんなに苦しんで死にたいか!!」

「……冗談じゃねえよ、誰がそんな理由で立ち上がるか。俺はただ……勝たなきゃいけねえから、立っただけだ!!」

リンクの叫びと共に、先刻のガノンドロフのそれに勝るとも劣らない、とてつもない気が彼の身体から発せられる。

しかし、それは大魔王の物とは明らかに違う……輝く光の様な聖なる気だった。

(ぬううっ!!……これは………奴め、『神より授かりし紋章』の力を引き出したか……!!)

暫しの間、リンクの気に耐え忍ぶ様に、防御の姿勢をとっていたガノンドロフだったが、やがて徐に自らの剣を構える。

「……少々意外だったが、まあよい。いくら貴様が足掻いた所で、そんな身体で何が出来ると言うのだ?」

「てめえを倒す事ぐらい出来るさ!……さあ!最終局面といこうぜ!! ガノンドロフ!!!」

マスターソードを握り締め、リンクは声高らかにそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

――――……交わされる剣戟、飛び散る鮮血、木霊する叫び。激闘を超える激闘。死闘の更に上をゆく死闘。決戦の中の決戦。

互いに持てる力の全てを出し切り、リンクとガノンドロフは刃をぶつけ合った。

斬られては斬り返し、また斬り返されては斬りつける。そのループの中で、二人は激しく傷ついていく。

「……はあっ!……はあっ!……どうした、ガノンドロフ!! 随分と動きが鈍くなってきてるぜ!?」

「……くっ……くくくくく! 貴様とて大した違いは無いだろう? 顔色が相当に悪くなっているぞ!!」

強がりとしか言えない笑みを浮かべながら、二人は互いに叫び合う。既にどちらも体力の限界を超え、精神力のみで戦っていた。

――――決着は近い……!!

勇者と魔王、そして姫の三人は、同時に同じ事を思う。と、その時、ガノンドロフが剣を大きく振り被った。

「……食らえええええっ!!」

「……やああああああっ!!」

リンクも負けじとマスターソードを振り払い、二人は戦いの始まりの時と同じ様に睨み合う。

そうした鍔迫り合いの中で、ガノンドロフは憎々しそうに吼えた。

「ぐぐっ!……どこまでも往生際の悪い奴だ! いい加減、諦めたらどうなのだ!?」

「う……ぐ……悪い……がな……そんな訳には…いかねえんだよ!!」

僅かに、しかし確実にガノンドロフの剣を押し返しながら、リンクは血塗れの身体から、絞り出す様な叫び声を上げた。

「う……な……?……バ、バカな!? まだ、こんな力が残っているはずは……」

「俺は……俺は、勝たなくちゃいけねえんだ! 今までの俺に、力を貸してくれた人達の為にも……

 俺の帰りを、待っている人達の為にも……俺が勝つ事を、信じている人達の為にも……!!」

先刻まで浮かべていた余裕の笑みは既に無く、徐々に後退していく大魔王に向けて、勇者は叫び続ける。

「が……あ……ぐぐぐぐ! お、おの……れ……!!」

「そして!! てめえに殺された、アイツの為にも……!!」

瞬間、リンクの脳裏に、一人の人物の顔が浮かび上がる。

いつも人を馬鹿にした様な笑みを浮かべつつも、その実とても清らかな心を持っていた、『黄昏の姫君』の顔が。

(ミドナ……必ず、仇はとってやるぜ!)

心の中でそう呟くと、彼女がフッと微笑んだ様に思い、彼は思わず刹那の笑みを零す。

しかし、すぐにそれを消したリンクは、全力でガノンドロフを押し返した。

「ぐはあっ……!?」

「ガノンドロフ!! てめえを………ぶっ倒す!!!!」

体勢を大きく崩し、完全に無防備となったガノンドロフに対して、リンクはマスターソードに全ての力を込める。

それを示すかの如く刀身から光が溢れ、彼の左手には『神より授かりし紋章』が一際大きく輝いた。

「終わりだああああっっ!!」

絶叫と共にリンクは身体を独楽の様に捻り、遠心力を味方につけながらマスターソードを薙ぎ払う。

――――彼の最終奥義・大回転斬りである。

「ぐああああっっ……!!」

その剣閃は確実にガノンドロフを捕らえ、奴の胸に真っ赤な真一文字を刻み込む。

一瞬の後、奴の身体から夥しい鮮血が噴き出し、リンクは咄嗟に顔を覆った。

「こ……こんな……わ、我……が……!」

その呟きが合図であったかの様に、静かに影の結界が解除される。慌ててゼルダ姫はエポナから飛び降り、リンクの元へと駆け寄った。

「リンク!」

「ゼルダ姫……」

彼がそう呟いた瞬間、ガノンドロフの手から、剣が力無く地面へと突き刺さった。

それを見て、ゼルダ姫がポツリと呟いた。

「……終わったのですね」

「ああ。……ったく、手強い奴だったぜ」

 

 

 

――――彫刻の様に立ち尽くしたまま、ピクリとも動かなくなった大魔王。

その様子を、『光の勇者』と『光の巫女』は暫しの間、ずっと眺め続けていた……。

 

 

 

 

 

 


あとがき

 

と言う訳で、四話目です。予告どおり、一気に決着まで書きました。

最終決戦にしては、やや短く感じたかもしれませんが、この後にかなり書きたい事があったので、やむを得ず()

最近思うんですが、こういう続き物小説は、全体のバランスを考えるのが難しいです。

どこかが極端に長かったり、短かったりすると、変になっちゃいますからね。精進したいです。

さて、とうとうトワプリ長編も、終わりが近づいていきました。

次回はED、そして、その後の話になっていますので、ご期待ください。では。

 

  

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